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こんにちは。鈴木石材店ホームページ・コラムの運営者の鈴木です。
お彼岸やお盆など、ご家族で集まってお墓参りに行く機会もあるかと思います。
そんなとき、そもそも墓参りに数珠は必要なのかなと疑問に思うことはありませんか。
また、いざ出発する時になってお墓参りに持っていく数珠を忘れたことに気づいて焦ってしまったり、自分のお墓参りで使う数珠の色や種類がわからなくて不安に感じたりする方も多いかもしれませんね。
さらには、いざ墓前での正しいお墓参りにおける数珠の持ち方がわからなかったり、もしもお墓参りに数珠なしで行ってもマナー違反にならないのかと心配になることもあるでしょう。
今回は、そんな墓参りでの数珠の扱い方や基本的なマナー、いざという時の選び方についてわかりやすく解説していきます。
お墓参りの作法といっても、あまり堅苦しく考える必要はありません。
一番大切なのはご先祖様を想う気持ちですから、基本を押さえておけば安心して手を合わせることができますよ。
【記事のポイント】
お墓参りに行く際、数珠を持参すべきかどうか迷う方は非常に多くいらっしゃいます。
ここでは、お墓参りでの数珠の必要性や、うっかり忘れてしまった場合の対処法、そして意外と知られていない貸し借りのタブーについて詳しく解説していきます。
宗派や宗教による作法の違いもしっかりと確認しておきましょう。

結論から申し上げますと、仏式のお墓参りであれば数珠は持参するのが基本的なマナーとされています。
そもそも数珠(念珠とも呼ばれます)とは、仏教において仏様やご先祖様と心を通わせるための最も身近で大切な法具です。
本来、数珠の珠の数は108個あり、これは私たち人間が持っている「108の煩悩(ぼんのう)」を表していると言われています。
私たちが日々の生活の中で抱えがちな怒りや嫉妬、迷いといった煩悩を、数珠の珠一つ一つが引き受けてくれるとされています。
そのため、数珠を手に持って墓前で静かに合掌することで、自分自身の心が清められ、より純粋な気持ちでご先祖様に祈りを届けられると考えられているのですね。
このような歴史的な背景を知ると、数珠を持つことの重要性が少し身近に感じられるのではないでしょうか。
とはいえ、お墓参りに出発してから「あ!数珠を家に忘れてきてしまった!」と気づくこともあるかと思います。
そんな時は、過度にパニックになったり、深く落ち込んだりする必要はありません。
数珠を忘れてしまったからといって、絶対にお墓参りをしてはいけないわけでも、ご先祖様が怒るわけでもないからです。
数珠がない場合は、そのまま静かに両手を合わせて(合掌して)祈りを捧げれば全く問題ありません。
仏教の作法として数珠を持つことは推奨されていますが、何よりも優先されるべきは、故人やご先祖様を供養しようとする「心」です。
「数珠を忘れてしまって申し訳ありません」と心の中で一言添えつつ、日々の感謝や近況報告を真摯にお伝えすれば、その想いは必ず届くはずですよ。
道中で数珠忘れに気づいた際、「マナー違反にならないように、近くのコンビニや100円ショップでとりあえず買おうかな」と考える方もいらっしゃるでしょう。
もちろん、その場しのぎであっても用意したいというお気持ちは立派ですが、個人的には無理に急ごしらえで購入する必要はないかなと思います。
無理に買い足さなくても大丈夫です
数珠はご自身のお守りとなる大切な法具です。
思い入れのないものを慌てて買うよりも、次回のお参りからしっかり自分の数珠を持参しようと心がけるだけで十分立派な供養の姿勢だと言えます。

お墓参りの現場でとてもよく見かける光景の一つが、家族間での数珠の貸し借りです。
「お父さん、私忘れたから拝む時だけちょっと貸して」「ほら、これ使いなさい」といったやり取りをしたことがある方も多いのではないでしょうか。
しかし、実はこれは仏教の作法において明確なマナー違反とされています。
なぜなら、数珠は単なる道具ではなく「持ち主の分身」であり、その人自身の厄や煩悩を引き受けてくれる専属の「お守り」のような存在だからです。
そのため、いくら血の繋がった親しい家族であっても、数珠を共有するということは、お互いの厄や業(ごう)を背負い合うことになってしまうと考えられているのですね。
もしお墓参りの際に、ご家族や親戚の方から「数珠を貸してほしい」と言われた場合はどうすればよいでしょうか。
相手に悪気がないことは明らかですから、角が立たないように上手にお断りすることが大切です。
「数珠はその人の厄を引き受けてくれるお守りだから、貸し借りはしない方が良いと聞いたことがあるよ。
忘れた時は、そのまま手を合わせるだけで気持ちは十分に伝わるから大丈夫だよ」と、優しく教えてあげるのがスマートですね。
ご自身の数珠を持っていない、あるいは忘れてしまった場合は、誰かのものを借りるのではなく、素手でしっかりと合掌する方がマナーとしては正しい形となります。
貸し借りがNGと聞くと、「亡くなったおじいちゃんが使っていた数珠を私が引き継いだけれど、これは使ってはいけないの?」と心配になる方もいらっしゃるかもしれません。
ご安心ください。生前に愛用されていた数珠をご遺族が引き継ぐことは「形見分け」にあたり、全く問題ありません。
形見の数珠はご縁の証
故人が大切にしていた数珠を受け継ぐことは、功徳(くどく)を引き継ぎ、故人とのご縁を大切にするという素晴らしい意味を持っています。
紐が切れていたり房が傷んでいたりする場合は、仏具店で修理をお願いすれば、この先も長くご自身の数珠として使い続けることができます。

ここまで仏式のお墓参りを前提に数珠のお話をしてきましたが、数珠はあくまで仏教特有の法具です。
したがって、神道(神式)やキリスト教、あるいは無宗教のお墓参りにおいては、数珠を持参する必要は一切ありません。
日本の宗教の多様性については(出典:文化庁『宗教年鑑』)などの公式統計資料にも示されている通り、日本には仏教以外にも非常に多くの宗教法人が存在し、それぞれ異なる信仰や慣習が尊重されています。
日本人は他宗教の儀式にも柔軟に参加する国民性があるため、仏教の作法である「数珠を持って手を合わせる」という行為が、すべてのお墓参りにおける共通のルールだと誤解してしまっているケースが少なくありません。
宗教によって供養の作法は大きく異なりますので、事前に相手方の宗教を確認しておくことは非常に重要です。
神道の場合、お墓のことは一般的に「奥都城(おくつき)」と呼びます。
神式のお墓参りでは、仏教のお線香の代わりに「玉串(たまぐし)」と呼ばれる榊(さかき)の枝を捧げることが多いです。
また、祈りを捧げる際の作法も異なります。
仏教のように数珠を手にかけて合掌するのではなく、神社の参拝と同じように「二礼二拍手一礼」でお参りします。
ただし、神社での柏手(かしわで)とは異なり、お墓参りや神式の葬儀においては、音を立てずに両手を打ち合わせる「しのび手」で行うのが正式なマナーです。
この際、手には何も持たずに行います。
キリスト教(カトリックやプロテスタント)のお墓参りでは、お線香を焚いたり、数珠を持ったりする習慣は全くありません。
基本的には、白いユリやカーネーションなどの生花を供え、静かに祈りを捧げたり、教会の賛美歌を歌ったりして故人を偲びます。
お参り先の宗教が仏教以外であると分かっている場合は、数珠を持参するとかえって不自然になってしまうこともあります。
ご友人や知人のお墓参りに同行する際は、念のため事前に宗教や宗派をさりげなく確認しておくと、現地で戸惑うことなく安心ですね。

ご自身用の数珠をしっかりと準備できたら、実際の現場での持ち方や使い方もマスターしておきましょう。
数珠の扱い方にはいくつかの基本ルールがありますが、一度覚えてしまえば決して難しくはありません。
まず、霊園やお寺に到着したら、どのタイミングで数珠を取り出すべきかという点です。
駐車場からお墓に向かう際、カバンの中にしまいっぱなしにするのではなく、できればお墓の敷地に入る前、もしくはお寺の山門をくぐる前には手元に出しておきましょう。
もしお寺に手水舎(ちょうずや)がある場合は、手と口を清めた後に数珠を手に取るとより丁寧ですね。
お寺の墓地にお墓がある場合は、まず本堂に向かって軽く一礼し、ご本尊様にご挨拶をしてから自分たちの墓区画へ向かいます。
この時も、数珠は左手に持っておきます。
お墓に到着したら、いきなりお線香をあげるのではなく、まずは墓石の掃除やお供え物の準備を行います。
この掃除や準備の段階では、数珠は一時的にカバンやポケット、もしくは数珠袋にしまっておくのが正解です。
掃除が終わって水鉢にきれいな水を入れ、お花を供え、お墓参りでの線香の正しい作法や供え方に従ってお線香に火を灯した後に、いよいよ数珠を取り出して墓前に立ちます。
普段からお仏壇に手を合わせる習慣がある方にとっては馴染み深い動作かもしれませんが、お墓という屋外の環境ならではの注意点があります。
風でろうそくの火が消えそうになったり、荷物の置き場に困ったりと、室内よりもバタバタしがちです。
だからこそ、数珠を出す・しまうという動作を慌てずスマートに行えると、大人のマナーとして非常に美しく見えます。

お墓の敷地内を歩いて移動する時や、他のご親族がお参りしているのを後ろで待っている間、数珠は必ず左手で持つのが基本ルールとなっています。
これには仏教の深い教えが関係しています。
仏教の考え方では、人間の「右手」は自分たちが今生きている不浄な現実世界(現世・此岸)を表し、「左手」は清らかな仏様の世界(仏界・彼岸)を表すとされています。
数珠は仏様やご先祖様と私たちを繋いでくれる清らかな法具ですから、仏様の世界を表す「左手」で扱うのが正しい作法とされているのですね。
持つ時は、親指と人差し指の間に数珠の輪をかけ、房(ふさ)がまっすぐ下に向くようにして持ちます。
左手に数珠を持ったまま移動する際、無意識のうちに腕を大きく振って数珠をジャラジャラと鳴らしてしまったり、手首にブレスレットのようにぐるぐると巻きつけたりするのはあまり褒められた所作ではありません。
移動中は、左手を胸の高さあたりで軽く曲げ、静かに手を添えるようにして歩くと、とても上品で落ち着いた印象を与えます。
また、お彼岸やお盆など、大人数でお墓参りに行った際は、一人ずつ順番に墓前に進んでお線香をあげていきます。
自分の番を待っている間も、腕組みをしたりポケットに手を突っ込んだりせず、左手に数珠を持ったまま静かに姿勢を正して待機するようにしましょう。
小さなお子様と一緒にお墓参りに行く場合、子供用のかわいらしい数珠を持たせてあげるご家庭も多いと思います。
子供は珍しいものを持つとどうしても振り回したくなってしまいますが、「数珠は仏様と握手するための大事な道具だから、左手でそっと持とうね」と優しく教えてあげると良い教育になります。
幼い頃から正しいマナーとご先祖様を敬う心を育む、絶好の機会かなと思います。

いざ墓前に立って合掌する際、数珠をどのように手に掛けるかは、お持ちの数珠の種類やご自身の宗派によって少しずつ異なります。
現在、多くの方がお持ちになっているのが、宗派を問わず使える「略式数珠(片手念珠)」です。
略式数珠の場合、掛け方には大きく分けて二つのパターンがあります。
一つ目は、数珠の輪の中に左手の四本の指(親指以外)を通し、そのまま右手を合わせて合掌するスタイル。
二つ目は、合わせた両手(親指と人差し指の間)に数珠の輪をくるっと掛けて、房を下へ垂らすスタイルです。
どちらの掛け方を用いてもマナー違反にはなりませんので、ご自身のやりやすい方を選んでいただいて大丈夫です。
一方、ご自身の宗派の正式な形である「本式数珠(二輪数珠)」をお持ちの場合は、宗派によって房の垂らし方や輪のねじり方など、独自の細かなルールが存在します。
ここでは代表的な宗派の例をいくつかご紹介します。
このように、本式数珠の扱いは非常に奥が深いため、事前にご自分の宗派の正しい作法を調べて確認しておくことを強くおすすめします。
数珠を正しく手に掛けたら、背筋をすっと伸ばし、目を閉じて静かに頭を下げます。
この時、あまり頭を深く下げすぎず、胸の高さで合わせた両手の指先が自然と顔の前に来るような姿勢が最も美しい合掌の形です。
ご先祖様への感謝の気持ちや、家族が健康で過ごせていることの報告など、ご自身の言葉で心の中でゆっくりと語りかけてください。

お墓参りでは、墓石を水拭きしたり、枯れた花を取り除いて新しいお花を生けたり、雑草を抜いたりと、両手を使わなければならない場面がたくさんあります。
そんな作業の最中、手に持っていた数珠が邪魔になり、ついつい墓石の上や香炉の横、あるいは地べたにポンと直置きしてしまう方がいらっしゃいますが、実はこれはNG行為です。
何度かお伝えしている通り、数珠は自分自身の分身とも言える神聖で大切な仏具です。
それを埃や泥がつきやすい屋外の石の上や地面に直接置くことは、大切なお守りを雑に扱うことと同じであり、仏様に対しても不敬にあたるとされています。
「でも、両手を使いたい時はどうすればいいの?」と思われるかもしれません。
作業をする間は、数珠は必ずポケットやカバンの中にしまうか、専用の数珠入れ(念珠袋)に入れて汚れないように配慮するのが正しい対処法です。
ズボンのお尻のポケットに無造作にねじ込み、そのままうっかりその上に座ってしまうようなことも避けてくださいね。
お墓掃除中の取り扱いトラブル
直置きしていた数珠にうっかり足が引っかかって紐が切れてしまったり、水鉢を洗っている最中に泥水がはねて房が汚れてしまったりするトラブルは後を絶ちません。
大切な法具を守るためにも、面倒くさがらずに一旦安全な場所にしまう習慣をつけましょう。
お仏壇がある室内とは異なり、お墓は常に風雨にさらされている屋外です。
春一番の強風で砂埃が舞ったり、夏場は直射日光で石が火傷するほど熱くなったりすることもあります。
天然石や繊細な絹の房で作られている数珠にとって、お墓の過酷な環境は想像以上にダメージを与えやすいものです。
作業中はしっかりと保護し、合掌する直前に取り出して心静かにお参りする、というスマートな振る舞いを心がけたいものですね。
お墓参りや法事の予定が入り、そろそろ自分専用のきちんとした数珠を購入しようと考えている方もいらっしゃるでしょう。
ここでは、初めて購入する際の数珠の選び方のコツや、男女による仕様の違い、そして長く大切に使い続けるための正しい持ち運び方と保管方法について詳しくお話しします。

新しく数珠を購入する際、最初の分かれ道となるのが「略式数珠(片手念珠)」と「本式数珠(二輪数珠)」のどちらを選ぶべきかという点です。
もしご自身のご実家の宗派がはっきりと分かっており、菩提寺とのお付き合いも深く、より正式で丁寧な形でお参りをしたいとお考えであれば、宗派の教えに則った「本式数珠」を選ぶのが最も確実です。
本式数珠は108個の主珠で作られており、長さや形状に格式の高さがあります。
一方で、「自分の家の宗派がよく分からない」「結婚して姓が変わったので、実家の宗派と婚家の宗派どちらに合わせればいいか迷う」「他家のお墓参りや、様々な宗派の方の葬儀にも幅広く使いたい」といった場合は、宗派を問わずどこでも使える「略式数珠」を選ぶのが圧倒的におすすめです。
現代では大多数の方がこの略式数珠を使用していますので、初めて買うなら略式数珠をひとつ持っておけば間違いなく安心ですね。
数珠は、仏壇・仏具の専門店はもちろん、デパートの冠婚葬祭コーナー、大型スーパー、さらにはインターネット通販など、様々な場所で購入することができます。
数珠の素材には大きく分けて「木の実・木製」のものと、「天然石(貴石)」のものがあります。
木製(星月菩提樹、黒檀、紫檀など)の数珠は、非常に軽く手に馴染みやすいのが特徴です。
また、長年使い込むほどに手の油分で艶が出て、味わい深い色に変化していく「育てる楽しみ」があります。
一方、天然石(水晶、オニキス、翡翠など)の数珠は、見た目の美しさと重厚感が魅力です。
石にはそれぞれ「邪気を払う」「心を落ち着かせる」といった意味合い(パワーストーンとしての効果)も込められているため、ご自身の願いに合った石を選ぶのも素敵な選び方かなと思います。

数珠を選ぶ際に絶対に間違えてはいけないのが、男性用と女性用の違いです。
数珠には「男女兼用」というものは存在しませんので、必ずご自身の性別に合ったものを選ぶようにしてください。
一番大きな違いは「珠の大きさ」です。
| 比較ポイント | 男性用数珠 | 女性用数珠 |
| 珠の大きさ(略式) | 大きめ(主珠が10mm〜12mm程度) | 小さめ(主珠が6mm〜8mm程度) |
| 全体の輪のサイズ | 男性の大きな手に合わせたゆったりサイズ | 女性の手に合わせた小ぶりなサイズ |
| 一般的な色合い | 黒、茶、紺、深緑など落ち着いた渋い色 | 紫、ピンク、水色、透明など柔らかい色 |
万が一、男性が女性用の小さな数珠を持っていたり、逆に女性が男性用の大粒の数珠を持っていたりすると、仏事の場ではかなり不自然に目立ってしまいますので注意が必要です。
「お葬式やお墓参りで使うのだから、色は黒や地味な色でなければいけないのでは?」と思われるかもしれませんが、実は数珠の色については厳密な決まりはありません(※一部の厳格な宗派や地域を除く)。
特に女性用の略式数珠は、珊瑚色(ピンク)や藤色(薄紫)、透明な水晶に可愛らしい色の房がついたものなど、非常に華やかでバリエーション豊かです。
男性用でも、青虎目石(ブルータイガーアイ)のような少し青みがかったスタイリッシュな石を選ぶ方も増えています。
房の形にも、糸を垂らしたようなサラサラとした「頭付房(かしらつきふさ)」や、丸い毬のように編み込まれた「梵天房(ぼんてんふさ)」などの種類があります。
梵天房はポケットに入れても糸がクシャクシャに折れ曲がりにくいという実用的なメリットがあり、近年人気が高まっています。
数珠はご自身を生涯にわたって守ってくれる大切なお守りです。
他人の目を気にして無理に地味なものを選ぶよりも、ご自身が直感で「美しい」「持っていて心が落ち着く」と感じる色や素材を選ぶことが、一番良い選び方だと言えるでしょう。

お気に入りの数珠を手に入れたら、一緒に「数珠入れ(念珠袋)」も購入することを強くおすすめします。
数珠をむき出しのままカバンの中に放り込んだり、スーツのポケットに直接入れたりするのは、マナーの観点からも数珠の保護の観点からもよくありません。
カバンの中で他の荷物と擦れて天然石に傷がついたり、木製の珠が割れてしまったり、何より絹でできた繊細な房が折れ曲がってボサボサになってしまいます。
一度房に強い癖がついてしまうと、熱を当てて伸ばすなど素人ではなかなか元に戻すのが難しくなります。
数珠入れには、マジックテープで留めるソフトタイプのものから、芯が入ったハードケースタイプのものまで様々ありますので、お好みの柄のものを一つ用意しておきましょう。
お墓参りや法事から帰宅した後は、数珠をそのまま引き出しにしまうのではなく、ほんの少しだけお手入れをしてあげてください。
人間の手には目に見えない汗や皮脂がついており、それが珠に付着したまま放置されると、曇りや劣化の原因になります。
お手入れ方法はとても簡単です。眼鏡拭きのような柔らかい布(クロス)で、珠全体を優しく乾拭きするだけで十分です。
特に木製の数珠は水気に非常に弱いため、絶対に水洗いやウェットティッシュでの拭き取りは行わないでください。
拭き終わったら、房の乱れを手でそっと下に向かって撫でて整え、数珠入れや専用の桐箱に収めます。
保管場所は、直射日光が当たらず湿気の少ない、お仏壇の引き出しの中などが最も理想的です。
紐が切れるのは縁起が悪いことではありません
「数珠の紐が突然切れてしまった!何か不吉なことが起きるのでは?」と青ざめる方がいらっしゃいますが、仏教においてはむしろ逆です。
「数珠が持ち主の悪縁を断ち切ってくれた」「厄を代わりに引き受けてくれた」という吉兆のサインだと捉えられています。
紐が切れたからといって、不吉だと思ってすぐにゴミ箱に捨ててしまうのはもったいないです。
中の紐は経年劣化でどうしても弱くなる消耗品ですので、購入した仏具店や専門の修理業者に持ち込めば、数千円程度で新しい丈夫な紐に通し直してもらうことができます。
バラバラになった珠をできるだけ拾い集めて、大切に修理に出してあげてくださいね。
ここまで、お墓参りにおける数珠の必要性から、選び方、保管方法に至るまで、かなり詳しく解説してまいりました。
様々なルールや作法をお伝えしてきましたが、最後にもう一度だけ強調しておきたいことがあります。
それは、作法やマナーといった「形式」も確かに大切ですが、それ以上に「故人やご先祖様を想う心」こそが、お墓参りにおいて何よりも尊く、一番重要であるということです。
数珠を持参できればそれに越したことはありませんが、もし忘れてしまったとしても、あなたの真摯な合掌の姿は間違いなくご先祖様に届いています。
現代はライフスタイルが多様化し、お墓のあり方やご供養の形も昔とは大きく変わってきています。
転勤で地元を離れたり、高齢でお墓の掃除に通うのが体力的に厳しくなったりといった理由から、長年守ってきたお墓を整理する「墓じまい」を選択されるご家庭も年々増加しています。
私たち鈴木石材店でも、伊豆エリアでの墓じまいに関するご相談や具体的な手続きのサポートをさせていただく機会が非常に多くなりました。
お墓の形が変わっても、お参りする場所が遠く離れてしまっても、ご先祖様へ感謝を捧げるという根本的な精神は決して変わることはありません。
数珠という小さな法具は、その変わらぬ精神を私たちに思い出させてくれる、大切な存在なのだと思います。
お彼岸やお盆といった季節の節目に、ご家族揃ってお墓に足を運び、墓石を磨き、お花を供える。その一連の行動自体が、すでに立派な供養となっています。
お彼岸のお墓参りの時期やマナーについても別記事で詳しくご紹介しておりますので、ぜひそちらも参考にしながら、季節のうつろいを感じつつご供養の時間を過ごしていただければ幸いです。
社会人としての基本的なマナーを押さえつつ、決して形式ばかりに縛られることなく、ぜひご自身の心に寄り添ったあたたかいお墓参りをしてくださいね。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
免責事項とご注意
※この記事でご紹介した作法や費用目安は、あくまで一般的な仏教の慣習に基づいた目安です。
お住まいの地域や菩提寺の宗派、各ご家庭のしきたりによって細かなルールは異なる場合があります。
正確な情報はご自身の菩提寺や神社の公式サイトなどをご確認いただき、改葬や供養に関する最終的なご判断は、お近くの専門家や住職にご相談されることをおすすめいたします。
【数珠のマナーと合わせて読みたい!お墓参りの基本作法】
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