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お墓や建築に使われる石材の中でもよく目にするのが「御影石」です。
しかし、「花崗岩と御影石の違いがよくわからない」「御影石ってそもそもどんな石?」と疑問に思ったことはありませんか?
この記事では、花崗岩と御影石の基本的な知識をはじめ、それぞれの特徴や使い分けについて丁寧に解説していきます。
まずは、花崗岩とはどのような石なのか、御影石とは何を指すのかをわかりやすくご紹介します。
そのうえで、花崗岩と御影石の違いについて整理し、混同しがちなポイントを明確にします。
また、御影石と大理石はどう違うのか知りたい方のために、それぞれの特徴や使用用途の違いにも触れています。
あわせて、なぜ花崗岩が墓石に選ばれることが多いのか、その理由やメリット・注意点についても詳しく解説します。
そのほかにも、日本各地で採れる花崗岩の主な産地や色のバリエーション、成分の違いによる特徴、深成岩としての成り立ちや形成過程、風化との関係で「もろい」と言われる理由など、幅広い視点から花崗岩の性質を紹介しています。
石材選びで後悔しないために、まずは正しい知識を身につけておきましょう。この記事がその第一歩となれば幸いです。
記事のポイント
花崗岩と御影石の関係と違いについて理解できる
墓石や建材としての花崗岩の特徴がわかる
大理石との違いや使い分けのポイントがわかる
花崗岩の色や成分、風化への注意点を知ることができる
・花崗岩とはどんな石なのか
・御影石とは何を指すのか
・花崗岩と御影石の違いとは
・御影石と大理石の違いは何ですか?
・花崗岩の成分と特徴について
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花崗岩とは、地下の深い場所でマグマがゆっくりと冷え固まってできる「深成岩」に分類される岩石の一種です。
主に石英、長石、雲母といった鉱物で構成されており、結晶の粒が肉眼で見えるほど粗いのが特徴です。
このような構造により、花崗岩は非常に硬くて緻密です。建材として使用される石材の中でも特に耐久性が高く、風化や摩耗に強いため、長期的に形状を保ちやすいという利点があります。
古代から現在に至るまで、建築や石碑、墓石など幅広い用途で使われてきました。
色合いは白系、灰色系、ピンク系などさまざまで、含まれる鉱物の種類や比率によって模様も異なります。
例えば、黒雲母が多いと暗めのトーンになり、カリ長石が多いと赤みがかるなど、同じ花崗岩でも見た目に大きな差が出ます。
ただし、花崗岩は加熱による膨張差や鉱物の劣化によって、時間の経過とともにひび割れや風化が進むことがあります。
これは屋外に設置された石材に見られる自然な現象ですが、設置環境やメンテナンスによって寿命を延ばすことも可能です。
このように、花崗岩は見た目の美しさと実用性を兼ね備えた石材として、多くの場面で重宝されています。
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御影石とは、主に日本で用いられる石材の名称で、実際には「花崗岩」と同じ種類の岩石を指します。
ただし、御影石という呼び名は、石材として利用される際の商業的な名前であり、岩石学的な分類とはやや異なります。
この名称の由来は、兵庫県神戸市東灘区の「御影(みかげ)」という地域にあります。ここでは古くから質の良い花崗岩が採掘されており、全国的にも高品質な石材として知られていました。
そのため、御影で採れた花崗岩が「御影石」として流通し、やがて全国で似た石材も同じように呼ばれるようになったのです。
御影石の魅力は、硬さ・重さ・低吸水性といった物理的特徴に加えて、表面を磨くことで高い光沢を得られる点にあります。
特に鏡のように磨き上げられた御影石は、重厚感と高級感を演出するため、建物の内外装やモニュメントに使われることが多くなっています。
一方で、御影石は非常に硬いため、加工には時間と技術が求められます。また、高温にはあまり強くなく、火気の近くに長時間さらされるとひび割れることもあるため、使用場所には配慮が必要です。
御影石という言葉は、単に「花崗岩の石材としての呼び名」と理解するとよいでしょう。
学術的な違いはありませんが、商業や実務の場では御影石という表現が広く使われています。
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花崗岩と御影石は、見た目や名前の印象から別物だと誤解されることがありますが、実際には同じ種類の岩石です。
違いがあるとすれば、それは名称の使われ方にあります。
花崗岩という言葉は、地質学や鉱物学などの分野で使われる「岩石そのものの名称」です。
マグマが地下深くで冷却されてできた深成岩の一種であり、主に石英、長石、雲母などの鉱物で構成されています。
これに対して、御影石とは「石材として使われる際の商業名」です。特に日本では、花崗岩を加工して建材や墓石として用いるときに、御影石という呼び方をすることが多くなっています。
この名称は日本独自のもので、特に兵庫県の御影地域で採掘された石が有名になったことで定着しました。
ただし、注意点もあります。市場で「黒御影石」として流通している石材の中には、実際には花崗岩ではなく、斑レイ岩などの別の岩石が含まれているケースもあります。
これらは色や性質が似ているため、同じように扱われがちですが、鉱物の構成や風化の仕方などに違いがあります。
つまり、花崗岩と御影石は本質的には同じですが、「学術的な分類」と「商業的な呼び名」という使われ方の違いがあることを理解する必要があります。
御影石と大理石はどちらも天然石ですが、性質や使われ方には大きな違いがあります。この違いを知ることで、使用目的に応じた適切な選択がしやすくなります。
まず、御影石(花崗岩)は火成岩の一種であり、地下深部でマグマが冷却されてできた硬質な石です。
密度が高く、風化や摩耗に強いため、屋外での使用や墓石など長期的に使用される構造物に適しています。
一方、大理石は堆積岩が高温高圧による変成作用を受けて生まれた変成岩です。主成分は炭酸カルシウムであり、比較的柔らかく加工しやすいという特徴があります。
そのため、彫刻や装飾的な要素に適しており、ヨーロッパの建築物や彫像にはよく使われています。
ただし、大理石は酸に弱く、酸性雨や水分による劣化が進みやすいというデメリットもあります。
このため、外構や雨ざらしの場所で使用するには不向きです。御影石であれば、これらの問題に強く、より実用的です。
このように、御影石と大理石は見た目の美しさでは共通点がありますが、耐久性や使用環境において大きく異なります。用途に応じて正しく選ぶことが重要です。
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花崗岩の特徴を理解するには、まずその成分に注目する必要があります。花崗岩は、主に石英・長石(カリ長石や斜長石)・雲母(白雲母や黒雲母)といった鉱物から構成されています。
これらの鉱物は、それぞれ異なる性質を持ち、花崗岩全体の外観や耐久性にも大きく影響します。
特に石英は非常に硬く、化学的にも安定した鉱物です。このため、花崗岩は風化に強く、長期間にわたってその形状や光沢を保つことができます。
長石は石の色味を左右する要素であり、ピンク系や白系などのバリエーションに富んだ色合いを生み出しています。雲母はキラキラとした光沢を持ち、見た目に美しさを与える要素として機能します。
ただし、花崗岩にはわずかに鉄分などが含まれており、これが酸化することで色味が変化したり、経年劣化の要因となることがあります。
また、鉱物の熱膨張率の違いによって、長期間の温度変化にさらされると、細かなひび割れが起こることもあります。
このように花崗岩は、鉱物の組成と構造によって高い耐久性と多様な見た目を持ちながらも、使用環境に注意が必要な素材でもあります。適切に扱うことで、美しさと機能性の両立が可能になります。
・なぜ花崗岩が墓石に使われるのか
・花崗岩の形成過程と深成岩との関係
・日本で採れる花崗岩の主な産地
・花崗岩の色や模様の種類
・花崗岩はもろい?風化との関係
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花崗岩が墓石に広く使われているのは、非常に丈夫で風雨に強く、長期間にわたってその形状や美しさを保てるからです。
墓石というのは、代々引き継がれていく存在であり、何十年、あるいは何百年にもわたって屋外に置かれることが前提となっています。
こうした環境に耐えられる素材として、花崗岩は極めて適しています。
まず、花崗岩は高密度かつ硬質な石で、簡単には削れたり壊れたりしません。また、吸水率が低いため、雨水が内部にしみ込みにくく、凍結や劣化によるひび割れのリスクも軽減されます。
さらに、表面を磨くことで美しい光沢が出るため、見た目の美しさと実用性を兼ね備えた石材として評価されています。
一方で、加工には特殊な技術と手間が必要です。硬いという特性は、彫刻や研磨の作業を難しくする側面もあります。
ただし、近年は石材加工技術の向上により、非常に精密で美しい仕上がりを実現できるようになりました。
このような理由から、花崗岩は日本国内で墓石に最も多く使用されており、他の石材と比べても実用性の面で群を抜いています。
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花崗岩は、地下深部でマグマがゆっくりと冷却されることによって形成される「深成岩」の一種です。
火成岩には、地表や浅い場所で急激に冷えて固まる火山岩と、地下の深い場所で時間をかけて結晶化する深成岩とがあります。花崗岩は後者に該当します。
この冷却の過程が長いため、花崗岩の内部には石英や長石、雲母といった鉱物の結晶が明瞭に観察できるほど大きく成長します。
結晶が大きくなればなるほど、岩石としての密度が高くなり、硬くて丈夫な性質を持つようになります。これが、花崗岩が構造材や墓石として高い評価を受ける理由の一つです。
また、深成岩としての花崗岩は、地殻変動によって地表近くに現れるまでには長い年月がかかります。この過程で圧力や温度の変化を受けることで、より強固な構造を持つようになると考えられています。
このように、花崗岩が持つ強度や耐久性は、その形成過程に深く関係しており、「深成岩であること」がその性質を形づくる重要な要素となっています。
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日本は世界的にも良質な花崗岩の産地が多い国として知られています。全国各地で花崗岩が採掘されており、産地ごとに色合いや石目に個性があるのが特徴です。
例えば、茨城県の「稲田石」は淡いピンク色を帯びた柔らかい印象を持ち、関東を中心に多くの建築物や墓石に使用されています。
香川県の「庵治石」は、非常に緻密で高級感のある見た目が特徴で、国内外で高く評価されています。
岡山県の「万成石」は淡い赤みを帯びた色調が美しく、住宅や記念碑にも多用されています。
また、愛媛県の「大島石」も有名で、こちらは青みがかったグレー系の色味が落ち着いた印象を与えます。
その他にも、福島県の「紀山石」、茨城県の「真壁石」など、各地に特色ある花崗岩が存在します。
このように、日本各地で採れる花崗岩は、それぞれ異なる風合いを持っており、使用目的や好みに応じて選ばれることが多くあります。
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花崗岩は、その構成鉱物の種類や割合によって、さまざまな色や模様を持つ天然石です。一見すると似たような石に見えることもありますが、よく観察すると、それぞれに個性があります。
代表的な色には、白、灰色、黒、ピンク、赤、青みがかったグレーなどがあります。
例えば、石英や長石が多く含まれる花崗岩は白っぽくなり、鉄分が多いと酸化によって赤みを帯びることがあります。
黒雲母が豊富なものは、ダークトーンの重厚な印象を与えます。
模様に関しても、石目が細かく均一なものから、粒の大きな結晶がはっきりと見える粗いタイプまでさまざまです。
この模様は、自然の中でゆっくりと形成されたものであり、人工的には再現できない唯一無二の美しさを持っています。
ただし、同じ産地であっても、採れる位置によって色味や模様に違いが出る場合があります。そのため、実際に石を選ぶ際には、カタログだけでなく現物を確認することが推奨されます。
花崗岩の多様な表情は、墓石や建築材料としてだけでなく、空間全体の印象を左右する重要な要素にもなり得るのです。
「花崗岩は硬くて丈夫」と言われる一方で、「もろいのでは?」と感じる人もいるかもしれません。これは、花崗岩が一見すると頑丈でも、自然環境の中で風化が進行することがあるためです。
実際、花崗岩は構成している鉱物の種類や性質によって、特定の条件下では風化が進むことがあります。
例えば、黒雲母や斜長石などは比較的風化しやすく、これらが劣化すると石の表面に細かなひびやざらつきが生じる場合があります。
特に日照による温度変化や酸性雨の影響を長期間受けることで、徐々に表層が崩れていくことがあります。
ただ、これをもって「もろい」と判断するのは早計です。花崗岩は風化に対しても比較的耐性があり、メンテナンスを行えば長期間にわたって美観を保つことが可能です。
風化が気になる場合には、定期的に洗浄を行ったり、コーティング処理を施すといった対応も検討できます。
つまり、花崗岩は「もろくなりうる側面」もある一方で、きちんとした管理や環境に配慮すれば、その耐久性と美しさを長く維持できる石材なのです。
花崗岩は地中深くでマグマが冷えてできた深成岩
石英・長石・雲母などの鉱物から構成されている
結晶の粒が大きく、模様や質感に個性が出やすい
硬く密度が高いため、衝撃や摩耗に強い性質を持つ
屋外環境でも劣化しにくく、長期間の使用に耐える
白やピンク、黒など、産地によって色味が異なる
鉄分の酸化や熱変化により、表面に変化が生じることがある
御影石は花崗岩を石材として使う際の日本特有の呼び名
「御影」という地域の名前から広まった呼称である
磨くことで高い光沢が出て、重厚感のある仕上がりになる
黒御影石の中には斑レイ岩など異なる石種も含まれる場合がある
大理石は加工しやすいが酸に弱く、屋外には不向き
花崗岩は墓石や建築用途において実用性と美しさを両立できる
日本全国に花崗岩の名産地があり、それぞれ風合いが異なる
適切な管理で風化を抑え、長期間美しさを維持できる